2016年 08月 29日
した。で、その中でベース弦の話になり、ドイツのベルリンに個人でガット弦を作っている人がいるんだがその弦が本当に 素晴らしいので一度試してみてはどうか?と強く勧められた。 そのドイツ人の名前は全然聞いたことがなく、でもクラシックのコントラバス奏者はもとよりジャズミュージシャンたちからも 大変注目されている人とのこと、ちょっと興味が湧いた。 NYに戻り早速角本さんにメールしてもう少し詳しく話を聞いた。名前はGerold Gensslerさん。彼のカタログも送ってもらった。 生ガット弦や金属巻きガット弦等々種類豊富にある。 ちょうど同じ頃、ゆかさんがヨーロッパツアーに出ていて偶然にもドイツでライブした時にGG氏の弦が張ってあるベースを
弾いたとのこと、その弦はなんと8年も使っているそうだがとても弾きやすくいい音がするらしい。 その楽器を貸してくれたベーシストがゆかさんをGG氏の工房へ連れて行ってくれることになっていたが、残念ながら事情があり 実現しなかった。うーん、ホント残念! ということで、7月も半ば過ぎ、カタログにあるメアドに、自己紹介と弦をオーダーしたい旨メールしてみた。きっと返事は なかなか来ないんだろうな、と半ば諦め気分でメールしたんだが、なんと翌日に早速返信があった! 内容を要約すると、ジャズ用に作った2016 APモデルというのがあるからオーダーするならそれをどうぞ、というメール、 これほど早く返事がもらえると思っていなかったので、喜び勇んで速攻その弦をオーダーした。弦はカスタムメイドなので 弦長やテールピースとブリッジ間の距離等々、自分の楽器のいろいろな部分のサイズを測ってそれも送った。 さてこれで注文は完了、弦が出来上がるまでには随分と待たされると聞いているのでまぁ、気長に待つことにしよう。 ところが、ところがである。なんとその4日後に「1週間後に弦を送ります。届くのには2日ほどかかります」というメールが来た。 いやいや、ちょっと早すぎじゃない?!注文して商品が届くまでには3ヶ月ほどかかるって聞いてたけど・・・。 そのメールには請求書も添付されていて、支払い方法はヨーロッパではおなじみのPayPal。早速お支払いを、と思ったけど 僕のPayPalアカウントがなぜか凍結されていて使用不可、そこでゆかさんのアカウントから支払ってもらうことに。 さてこれであとは弦が届くのを待つばかりとなった。 なんでこんなに対応が早かったんだろ???不思議だ・・・。 弦を束ねているリボンには手書きでKiyoshi Kitagawaと名前が書かれてあって、「これは君専用の弦だよ」と言われている感じが してちょっと嬉しい。弦と一緒にテールピースワイヤーも同封されていた。この弦の実力を最大限に発揮させるためにはこの ワイヤーを使って欲しいとのことだ。 その週末はニューポートジャズフェスでの演奏があったので弦の張替えはそれが終わった翌日の8月1日にした。 とりあえず弦を緩めてテールピースワイヤーの取り替えから。僕は極めて不器用なので、こういうことはやはり几帳面なゆかさんに お願いしてワイヤー交換が無事終了。ところがさて弦を張ってみますかね、と思った瞬間、「カラン!」と大きな音。 あ〜、やっちゃった、やっぱりサウンドポスト(魂柱)が倒れちゃった・・・。 これは弦圧で安定させているだけだから全部の弦を緩めると倒れる場合がある、というかまず倒れるね。残念ながらこれは うちではどうすることもできないので早速ベースリペアショップ「David Gage」に持っていくことに。 ナイスガイだ。やはりガット弦は他の種類の弦とは違って少し太いのでブリッジ(駒)とナット(上駒。指板の上端部分の4本の 溝が掘ってある木片)の溝を少し広げる必要があった。やはりうちで弦を張り替えようとしたのは元々間違いだったわけだね。 サウンドポストが外れてくれたのはある意味ラッキーだったわけだ。 駒の溝を削っているザックくん。ちなみにこの溝のことを英語ではgrooveっていうんだってね、知らなかった・・・。 これがガット弦のサウンドなんだろうね。今までテンションのきついスティール弦に押さえつけられてきた楽器なのでまだまだ ガット弦のゆるいテンションに馴染むまで時間はかかるだろうけれど、既に楽器が「解放された」っていう音がする。 超〜弾きやすい。俄然ゆかさんも自分のベースに張りたくなってきたらしく真剣に購入を考え出した。 結論から言うと、その3週間後に今度はゆかさんのベースがザックくんのお世話になったということ。弦が届いて1時間後には ベースはザックくんの作業台の上に寝てました。そしてもちろん持って行ったのは僕です。 ゆかさんの楽器が見違えるほど弾きやすくいい音になっていて二人ともびっくり。こんなに違うもんなんだねぇ。 ゆるいテンションになれて馴染んできたのを実感する。 弓を使った時の「反応」がこれまた文句なしに素晴らしい!ピツィカートも弓も両方満足できる弦なんてそうあるもんじゃない。 もうこれから先、他の弦を使うことはちょっと考えられないね。 この弦の存在を教えてくれた角本さん、本当にありがとうございました!
by kiyoshi-kitagawa
| 2016-08-29 07:26
| diary
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